第20話 「危険な罠」

トーマス一家がメアリズビルに越して来てから一年余りがたちました。これまでヘンダーソン先生は病気でお休みしている先生の代わりに勉強を教えてくれていたのですが、とうとう前の先生が学校に戻ってくることになったのです。生徒たちはその話を聞いて、皆とてもショックを受けましたが、特にアンは悲しくてたまりません。エッグマンのところに卵を買いにいったアンは、この悲しい出来事をエッグマンにも伝えます。実はヘンダーソン先生のことを今では憎からず思っていたエッグマンも、知らせを聞いて密かに動揺していました。アンはエッグマンの心の内に気付かないでいましたが、どんどん勝手な想像を膨らませる内に、ついにはエッグマンが先生に結婚を申し込みに行くのを早く知らせてあげなくちゃとばかりに、ヘンダーソン先生の家に飛び出して行ってしまいました。エッグマンは出て行くアンを引き止められず見送ってしまうと、暫く落ち着かないそぶりでいましたが、とうとう立ち上がり何かを決心します。その頃トーマス家では、バートが倉庫番を任されるようになって一家の生活は貧しいながらも安定していました。同じ職場のジェフリーはバートがメアリズビルに来て以来何くれとなく良くしてくれ、今では二人はすっかり仲良くなっていました。ある日バートはジェフリーから、自分の手で新しい会社を興すこと、バートに一緒に会社を手伝って欲しいと打ち明けられます。前払いの報酬を渡して真剣に頼み込んで来るジェフリーの勢いにバートは飲み込まれてしまいます。その夜、バートが買ってきたご馳走を楽しく食べた一家。久しぶりに穏やかな夜を過ごすジョアンナでしたが、新しい仕事を手伝うと打ち明けるバートの言葉は、ジョアンナを一転して不安にするだけだったのです。

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