第28話 「ひとりきりの授業」

ハモンド家に来てから三ヶ月がたったアン。毎日子どもたちの世話に忙しく働いていましたが、アンの心は未だに閉ざされたままでした。アンは9歳になっていましたが、シャーロットは体の調子が悪い事を理由に、役場から人が訪ねて来てもアンを学校にやろうとはしませんでした。落胆するアンは新しい友だちのやまびこのヴィオレッタの元にやってくると、自分の沈んだ気持ちを打ち明けます。学校に行けなくても、せめて本が読めたらと、アンはため息をつかずにはいられませんでした。しかしふとしたことから、アンはハモンド家の地下室にたくさんの本がある事を発見します。それから毎日、息をつくひまもなく八人のこどもたちの世話をするアンにとって、読書はたったひとつの喜びになったのです。アンはそれから一人素晴らしい本の世界に浸りながら日々を過ごしていました。そして10才になったある夏の日、誰も熱を出さず、シャーロットの体調も良かったことから、アンはようやく学校に通えることになりました。玄関を出ると、ずっと押さえていた心に感動の気持ちが湧き上がります。ずっと通えなかった学校は、アンの頬を期待と不安で紅く染めるのでした。しかしアンが学校に辿り着くと、教室にはマクドゥガルと名乗る教師が答案の採点をしているばかりで一人の生徒もいません。アンの喜びをよそに、なんとその日から学校は夏休みを迎えていたのでした。アンは激しい落胆と半年の間押し黙っていた反動で、マクドゥガル先生を相手におしゃべりが止まりません。始めは驚くばかりだったマクドゥガル先生は、とうとうアンのために一人だけの授業を提案するのでした。

   とじる