第8話 「遠い調べ」

アンの住むボーリングブロークに、冬がやってきました。ケイティ・モーリスと名付けられた食器棚の前で、今日もアンがおしゃべりをしています。このところバートが真面目に働きに出ているので、トーマス家のみんなは塩漬け肉が食べられるようになりました。朝、アンはジョアンナからお弁当をバートに届けるように頼まれます。そこでアンが見たものは、雇い主のフランクリンに辛く当たられているバートの姿でした。フランクリンは、積荷がなくなったのをバートのせいにしようとし、ただの数え間違いと分かった後も謝ってもくれません。バートはそれでも我慢をし、一緒に働く仲間がバートを慰めようとお酒をすすめても決して飲もうとしませんでした。でも疲れて家に帰ってくると、バートは騒がしい男の子たちのせいでジョアンナを怒鳴りつけてしまいます。アンはそんなバートを、どうしておじさんはおばさんに優しくできないのか、自分だって怒られたら嫌なのに、と不思議に思うのでした。ある雪の日、仕事に励むバートを呼び止める声がします。それは若い頃に友だちだったビリーとスーザンでした。とっさに汚れた顔や手を隠すバートでしたが、2人は懐かしそうにバートが昔町一番のハンサムでダンスパーティのスターだったことを話し出し、バートをその夜開かれるダンスパーティーに誘いました。でもバートが返事をためらっていると、いつの間にかやって来たフランクリンに仕事の手を休めていることを怒鳴られてしまいます。友達の前で能なしとののしられ、バートはみすぼらしい格好で泥まみれの仕事をするしかない自分を恥じ、一層惨めな気持ちになるのでした。

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