第52話 「この瞬間のために」


(2008年12月28日)

52.jpgローズが気持ちを打ち明けたあくる朝、パリの街には静かに雪が降り始めていた。クリスマスイブを迎え、ローズのアパートにも小さなツリーが飾られたが、ポルフィはローズにあげるものが何もなかった。ローズはポルフィが申し訳なさそうにポケットから取り出したガラクタを見ていたが、急にいたずらな表情になりガラクタからナットをつまみ上げる。ローズは素敵な指輪だとポルフィに微笑み、ポルフィに左手を差し出して薬指にナットをはめてもらう。今迄で一番素敵なプレゼントだと喜ぶローズを見て、ポルフィも一緒に嬉しくなる。ローズは暫くナットを見つめていたが、ポルフィにもクリスマスプレゼントを用意すると言うと外出していった。街中の電話ボックスの前に立ち、ローズがコートのポケットから取り出したのは、ティファニーの連絡先だった。ためらいを感じながらも、ナットの指輪を目にしたローズは、微笑みを浮かべダイヤルを回し始めるのだった。一方、ザイミスと近くの公園で落ち合うポルフィ。雪を見たことのない二人は珍しさに暫くふざけ合っていたが、ポルフィは昔母に言われた言葉を思い出しながら、旅の間の出来事への想いをザイミスに話し始める。二人は互いにギリシャにいた頃からとても成長したと認め合うのだった。

第51話 「願い」


(2008年12月21日)

51.jpgザイミスとの突然の再会に驚くポルフィ。ザイミスは以前応募していた作文コンクールで見事一番になり、パリ旅行を射止めていたのだ。二人は久しぶりの再会を喜んだが、ザイミスはポルフィの傍らにミーナの姿がないことに気づき心配する。ポルフィが「天使の歌」という映画のことを教え、一緒にポスターを確かめに行くと、ザイミスは自分もその映画を見てみることにした。映画が終わり外に出たザイミスは、映画の子役は確かにミーナだとポルフィに告げる。ザイミスの言葉に後押しされたポルフィは、もう一度ミーナの事を聞いてもらえるようにローズに頼もうと決心する。ポルフィはそのままローズのアパートにザイミスを連れて行き、ザイミスをローズに紹介する。そこでポルフィは再び映画のことについてローズに食い下がるが、ローズはなぜか強い態度でそれを否定し、そのまま外出してしまう。ローズの態度に驚きながらもポルフィは彼女がうそをつくはずがないと信じるが、ザイミスは明日内緒でもう一度撮影所を訪ねようとポルフィを誘うのだった。

第50話 「うそ」


(2008年12月14日)

50.jpgとうとうミーナの手がかりを掴んだポルフィは、ある映画のポスターの前にローズの手を引っ張りやって来た。それは、ローズのかつてのライバル・ティファニーの映画「天使の歌」のポスターだった。ローズは、素人の女の子がいきなり映画に出られるはずがないと、とまどいながら告げるが、ポルフィはとにかく映画を見るのだと言い張る。そして映画を見終えたポルフィは確かにミーナを見つけたと、飛び上がって大喜びするのだった。しかしどうやったらミーナに会えるか分からず焦るポルフィ。半信半疑のローズから映画会社なら知っているかもと聞き出すと、撮影所に直接ミーナを訪ねて行くが、ポルフィはただのファンだと思われて追い返されてしまう。ローズは落ち込んでアパートに帰ってきたポルフィを慰め、昔の知り合いにミーナの事を聞いてみると約束してくれる。しかし、ミーナが見つかったら一緒にギリシャへ帰りたいと話すポルフィに、ローズは少なからず動揺するのだった。

第49話 「ランデブー」


(2008年12月07日)

49.jpg雨上がりのパリの街。ポルフィは朝からワインを飲み干すローズをお酒は体によくないのだと見咎める。ローズはポルフィを子ども扱いするが、ティファニーの事を尋ねられると、思い出を語りだす。ポルフィは、ローズがかつてティファニーと一緒に女優の夢を目指していた事を聞かされるのだった。ローズは落ち込む気分を変えようと、ポルフィをデートに誘う。これがデートの基本とばかりに、待ち合わせ場所のコンコルド広場で待っていると、美しくおしゃれをしたローズがポルフィの前にやってくる。ローズにエスコートされて、華やかなパリの街に2人で繰り出した。ティファニーの屋敷では、ミーナも気分転換に外出を勧められていた。メイドのナタリーと一緒に通りを散策するミーナ。始めは堅苦しさが取れずにいた2人符だったが、しつこく話しかけてくる男にナタリーが思わず声を荒げいつもと違うナタリーの様子に驚かされたミーナは、自分の心の内をナタリーに打ち明けるのだった。

第48話 「夢のかけら」


(2008年11月30日)

48.jpg料理店の閉店後、床にモップをかけていたポルフィ。カウンターで帳簿をつけていた主人のクサロは難しげな顔をすると、突然ポルフィに右手を突き出してお金を出すように告げる。驚いたポルフィが貰ったチップは全部渡したと言うと、クサロは売上の金が足りないのはポルフィがお金をごまかしたせいだと責め始めた。アキレスの助けでお金は見つかったものの、両親の悪口を言われたポルフィは逆上して店を辞め飛び出してしまう。アパートに戻ったポルフィを、ローズは辛いことから逃げてももっと辛いことが待っているのだと慰めるのだった。一方映画に出ることを決心したミーナは、ティファニーと一緒に最後の撮影日を迎えていた。大きなスタジオにもすっかり慣れた様子のミーナ。ティファニーはスタッフたちの見つめる中、映画のラストシーンを最高の演技で演じ終えるのだった。ローズは店を辞めたせいで時間を持て余すポルフィを、外に連れて行くことにする。仕度を待つ間、ポルフィは前から気になっていた伏せられた写真立てを見てしまう。それは、ローズと並んで微笑む女優ティファニーの写真だった。